子の心親知らず

実の母親に家庭を壊された毒親育ちのシングルマザーが親子のあり方を考察するブログ。

人間は経験したことしか分からない

人間は経験したことしか分からない。

 

ここ数日他人の言葉でしみじみこれを思いました。

 

先日ある女性ばかりのセミナーに参加したのですが

講師がパートナーシップのテーマになった時に

 

「結局ね、誰と結婚しても同じなんですよ。

誰でも嫌なところは出てくるし。」と言いました。

 

私は、心で静かに思いました。

 

「同じではないですよ。相手が人格障害精神障害だった

場合は。」と。

 

相手の人格や精神状態に、病院で診断されるような

異常があった場合

 

「嫌なところ」のレベルでは全くないからです。

 

そんなこと言って

あなたは、「ジギルとハイド」みたいな人や

「24人のビリーミリガン」みたいな人と

穏やかな結婚生活を送れますか?

 

昼間にこやかに談笑していた彼が

夜中にどこかで人を殺してきたとして

しかも朝起きたら記憶がないとして

 

「まあ誰にでもあるから」って言えますか?

 

昨日と今日のパートナーの人格が

まるで別人になって

「え・・・誰この人?」と狐につままれたような

気持ちで

 

「お、お父ちゃんどこ行っちゃんだろうね〜?」

とか言いながら

笑顔で子どもと遊べますか?

 

人格障害精神障害も、誰でもなりうるものでは

あります。

 

誰でも出会ってしまう可能性があります。

 

それでも例えば統合失調症は100人に1人と言われていて

99人は違うのだから

その99人と運よく結ばれた人には、その1人と

縁が結ばれた人の気持ちなんて絶対に分からないです。

 

もちろん、男ってだいたいそうよね〜とか

女ってやつは全く、にも当てはまる部分がたくさんある。

 

だけど、絶対に一般人に当てはまらないことが

病院で病名をつけられた人にはあります。

 

だからもしすでになんらかの障害や病気の名前を

つけられている人がパートナーである場合には

 

普通の

パートナーシップ講座に参加したり

良妻賢母本などを読んで

実践しよう、なんて思わないでください。

 

徒労に終わってしまうから。

 

無力感と罪悪感と悲しみだけが、残るから。

 

問題は、そこじゃない。

 

人格や精神に異常があると診断された人の

真の問題は、その人の育ちの環境にあるからです。

 

親子関係を主としたその人が母親のおなかに

やってきてから成人するまでの、その時間の中で

徐々に異常性が培われてきたからです。

 

成人してから出会ったパートナーのせいではないし

パートナーが努力して歩み寄っていい夫なりいい妻に

なったら障害が治るというものではありません。

 

家族に精神障害者がいるという苦しみも

母子家庭の苦しみも

お金を稼ぐ大変さも

死別の悲しみも

 

経験したことがなければ、やはり分からない。

 

私は上の3つは経験しています。

死別だけは祖父母と伯父以外には経験がないので

よくわかりません。

 

夫が精神障害者であるという混乱は

彼が断薬してからの混乱は、私の

人生で初めての「パニック」というものの経験でした。

 

子どもが苦手だった私が子どもを産んで

ようやく子供の可愛らしさを心底知り

人間を育てるという大変さを知り

 

今、「生計を立てる」ことがそんなに簡単ではないことを

体感しています。

 

1人で生活していた時は

自分の食い扶持を自分で稼いで一人前に

なった気でいたけど

 

自分1人で稼いで子どもを養っていくのは

一人暮らしとは全く次元の違うものでした。

 

私は「好きなことでお金を稼ぐ」ことを

今までもやってきて、これからもそれをやっていく

つもりだけど

 

たくさんお金をもらえなくても好きなことだから

幸せ、と思っていた独身時代の貧乏暮らしは

やっぱり子どもにはさせられないのです。

 

卵かけご飯だけでいっか、とか

タクシー乗れないから30分歩こう、とか

予約なしに安宿を訪ねるバックパック旅行とか

独身時代には平気でむしろ楽しんでいたことも

 

子連れでは途端に難しくなるのです。

 

小さな子どもがいる貧乏暮らしは

半端なく疲れて笑顔も消えてしまう。

 

この子にお金がないことから来る

不自由な思いも、母親が仕事ばかりという

寂しい思いもどっちもさせたくないという

母子家庭ならではの悩みが生まれ

 

子どもを1人では置いておけないのだから

独身時代のようにお金が足りないから

週末バイト入れようとか夜も働こう、とか

も気軽にはできなくなるわけです。

 

それをやっているシングルマザーもたくさんいると

思う。

 

子どもをどこかに預けて

あるいは子供だけで寝かせたままで

夜も働きに出ているママもたくさんいるでしょう。

 

いろんな状況があるから

どうしろとは誰にも言えないけど

そんな母親たちの引き裂かれるような心も

 

きっと子どもを産んだことのない人には

想像もできない。

 

だから独身の妹に

「これからは私以上に大変だろうけど頑張ってね。」

と軽く言われた時は

カッチーンと来ました。

 

は?以上ってまるで自分も大変みたいに言ってるけど

自分1人の食い扶持稼いで誰にもペース乱されないで

生きてるだけのアンタと一緒に

しないでよ、と思いました。

 

自分1人養うくらい、健康な人なら別に難しくない。

それは私は経験があるから言えます。

 

普通に夫婦2人と子ども1人の友達に

「うちだって旦那いつも遅いからほとんどワンオペだよ。」

と離婚したばかりの頃に励まされた時。

 

そうかもしれないけど、

生計までワンオペじゃないでしょう・・・

 

休みの日には旦那が子ども預かってくれて

美容院とかいけるわけでしょう・・・

 

とちょっと思ってしまったし。

 

だからやっぱり

「みんな同じですよ」とは軽々しく言えないな、

と思います。

 

大元は同じでも、経験と境遇は本当にいろいろだから。

 

自分が経験していないことは

型にはめてわかったようなことは言わない方がいいかな、

と思います。