私がまだ結婚する前
「夫婦には外側の障害と内側の障害のどちらかが必ずある。
2人で乗り越えなけばならない試練があるか、それがなければ
夫婦の間に争いが必ず起きる。」
こんな言葉を聞いた。
聞いたのか読んだのかも忘れてしまったけど
この言葉は当時結婚願望が高まっていた私の心に
深く残った。
その時の私は
外側の試練だったらいいなあ、
だって2人で力を合わせて共通の敵に向かったら
絆が深まりそう。
そう思った。
だからその頃ちょうど外国人の婚約者のビザ問題で
悩んでいた友人にこの話をした。
ビザの問題は外側の試練だから
夫婦の絆は安泰だよ。よかったねって。
案の定、その2人はずっとラブラブで
2人の子供に恵まれ、幸せに暮らしているかな?
近況は知らないけど。
私の場合は、内側の問題だった。
元夫は心の中に深刻な問題を抱えていて
それは他人には容易に理解できるものではなく
彼の深い闇は私の育ちの傷まで掘り起こして
私たちは外側は恵まれて幸せそうに見えたかも
しれないけれど
内側は混沌としていた。
ほとんどパニック状態だった。
彼は私のことが大好きだと言いながら
私の大好きなものを否定していた。
彼と私は、根源的な好き嫌いが
全く合わなかった。
というより、元夫はおそらく神経が戦争状態だったので
本当に好きなものが何なのか、分かっていなかったのだ
と思う。
私たち夫婦には
外側の試練はほとんど起きなかった。
外国に住むにもお金で解決していたので
ビザの問題は起きなかったし
2人とも言葉の壁もなかった。
2人とも仕事をしていなかったから
仕事の悩みを相談しあうなんてこともなかった。
妊娠してもノートラブルで
子供も安産で五体満足に無事に生まれてきた。
私たちには本当に
いろんなことにいろんな場所でチャレンジしてきた
にも関わらず
外側の試練が何にも起きなかった。
外側の試練というのは
例えば今回ハワイの挙式ツアーが中止になったニュースが
あったように
結婚式がうまく行かないとか
家族に面と向かって反対されているとか
事故にあってしまうとか
妊娠中に入院するような事態になるとか
子供に何かしら障害があるとか
2人で力を合わせないといけなくなるような
状況のこと。
こういったことは不思議なほど全くなかった
私たちは、運がいいとか恵まれているとか
思っていたけど
代わりの試練は私と彼の心の闇のぶつけ合いという
形になって現れていた。
互いに深く傷つけあい
親のことも否定し
生まれ育った環境や血筋まで呪うような
言い争い。
離婚前
私たちには十分すぎるお金があって
住みたい場所に住む選択肢もあって
子供も健康で
双方の親も元気で
外から見れば何不自由ないと言っても
過言ではなかったのに
家の中はかけらも平和ではなかった。
元夫は私には見えない敵とずっと
戦っており、彼には幼い子と子の世話を
する優しい妻がいるという
わかる人にはわかる幸せな状況に
目を向ける余裕が1ミリもなかった。
38のまあまあ高齢出産の妻が
何のトラブルもなく健康な子供を産んで
異国の地で育てているという奇跡が
彼には見えなかった。
彼は、頭の中を10年に渡って占拠している
見えない敵の悪口をいう声と、インナーチャイルドの叫び声で
いっぱいいっぱいだった。
外側に目に見える敵のいなかった私たちは
一番近くにいたお互いの内面に攻撃性を向け
結果木っ端微塵に壊してしまった。
だから
もし今度また私と人生を一緒に歩こうと言ってくれる人が
現れたら
私は神様に外側の障害をお願いするだろう。
いろんなことを2人で乗り越えた
強い絆で結ばれている夫婦に憧れるから。
年老いてどちらかが眠る時
「いろんなことがありましたねえ。
でもあなたと一緒で本当によかった。
あなただけはいつも私の味方でいてくれました。」
そう言ってお別れしたいから。
夫に攻撃され、夫を攻撃し
挙句怖い、見つかりたくない、と
思いながら生きるなんて
もう2度とごめんです。
あなたはどちらの試練の方が
ましだと思いますか?