ご無沙汰していました。
新しい環境に引っ越してなんやかんやと
大変でした。
子どもがいると引っ越しの煩雑さが2倍にはなり、
引っ越しに慣れている私でもたった1人で全ての
手続きと荷造りをしたため過労になり
蕁麻疹のようなものが出ました。
出発当日まで不用品処分と荷造りに追われ
子どもにろくに説明もしないまま
言葉の違う国に連れてきました。
娘は訳のわからないまま
こども園のお友達や先生にお別れ会をされ
じいじばあばに手を振って飛行機に乗りました。
飛行機を降りたら、そこは言葉の通じない国だった。
そして到着当日、休憩もしないまま
幼稚園に見学をかねて
お金を払いに行き、
翌日からもう私は仕事があったので
娘は朝7時半から夕方5時まで
異文化の幼稚園に放り込まれたのです。
かわいそうかな、という思いはあったけれど
仕事なので仕方ない。
通常は午後6時がお迎え時間だけど
私だけ初日は早めに5時にお迎えさせてもらいました。
娘は私を見るなり満面の笑顔で駆け寄ってきて
「ママ〜幼稚園楽しかった〜!!」と
言ったのです。
嘘〜!とびっくりしたけど嬉しくて
「楽しかったの〜!よかった〜。ママ安心だわ〜」と
言いました。
その日から週末まで、娘は嬉々として登園し
帰りには「楽しかった〜」と言って笑顔で
帰ってきたから
私はてっきりこの子にはこっちの幼稚園の方が
合ってるのかも、日本で楽しかった〜なんて
言って帰ってきたことなかったのに、
なんて思った。
ところが週末2日休んでいる間に
娘が言ったのである。
「ママ、幼稚園もう全部行ったから
もう行かない。」
全部行った。
娘はこの異文化の幼稚園に、体験入園でも
したのかと思っていたみたいです。
そして少し体験したら
また元の世界に帰るんだと彼女なりに
理解していたようです。
じいじばあばや、こども園のお友達
言葉の通じるあの世界と、自分は
お別れしたわけではない。
一時的に離れてママのお仕事の都合で
ちょっとの間この世界に遊びに来ているけど
また慣れしたんだあの世界に帰れるんだと
小さな心を納得させていたようです。
次の月曜日から、「幼稚園行かない〜」と
泣くようになりました。
「でもね、ママお仕事あるからね、おじさんたちも
みんなお仕事だからね、幼稚園行かないとりんごは
1人になっちゃうんだよ。
誰も遊んでくれないんだよ。幼稚園行ったら先生とか
お友達と遊べるでしょ。滑り台もあるしね。」
とかなんとかなだめて
(おじさんとは娘が会ったことのある
同僚のおじさんたちのこと)
こっちは9月が新学期なので
新入園の現地の子どもも泣いている子もいる。
ママと離れたくないと言って泣いている子は
教室の入り口まで保護者が連れて行くことに
なっています。
最初の1週間は先生と手をつなぎ
私に笑顔で手を振って登園した娘ですが
以降は先生の差し出す手に首をふり
私の手を離さないようになりました。
もともと赤ちゃんの頃から社交的で人好き
2歳からはおしゃべり大好きな女の子です。
最初は好奇心でワクワクしていたのかも
しれないけれど、なんか言ってることが
分からないしみんなも分かってくれない!
ということに気づき
混乱しているのでしょう。
そりゃあそうです。
でもまだ3歳。
日本語と現地語を照らし合わせて
教えて習得する発達段階にはありません。
周囲の言葉と行動を合わせて
みて、聞いて、学ぶ。
「まねぶ」段階の年齢にあります。
だから私が家で「教える」とかは
無意味で、今私にできることは
子供の適応力、言語習得能力を
我が子の力を、ただ信じることだけ。
帰ってきたらギューっと抱きしめ
「よく頑張ったね。」と労い
甘えてきたらいっぱい甘えさせてあげ
「大丈夫、すぐ慣れるからね。
すぐわかるようになるから。」と
励まし
不安がらず心配しすぎず
落ち着いて、信じて、待つ。
私も元夫も、複数の外国語を理解します。
言語習得能力の高い遺伝子を持っているはず。
夜、お風呂に入る前に
娘は確認して来ます。
「ママ、今日も幼稚園行く?
もう行かない?」
(今日と明日の区別がまだできてない)
「明日も行くよ。」
「行かない〜。もう幼稚園行かない〜。
ママがいい〜(泣)」
しばらくしてそれは無理な願いなのだと
わかると
涙を堪えた顔で
「ママ、お仕事頑張ってね。
りんご幼稚園頑張るね。」
と言うのです。
なんて、なんて健気な!!
そんな繰り返しの日々。
娘は訳のわからないまま異文化に
放り込まれたのだから
自分の意思で全て分かってここに
来ている私よりはるかに混乱し、
大変だと思う。
だけど私には見えているから。
1年後、絶対楽しくなってる。
めちゃくちゃ楽しくなってる。
ハッピーな未来が私にははっきり
見えているから
今は「頑張れ〜」と応援し、見守るしかない。
エアコンは稼働するときに一番電力を使うから
ちょっと出かけるたびに消さないで
付けっ放しの方が電気代が抑えられる。
エアコンだけじゃなく、電化製品は全部
そうです。
人間も同じ。
何事も、始めが一番エネルギーを必要とする。
動き始めが一番きつい。
新しい環境では最初の数ヶ月
新しい仕事も1年目が一番しんどい。
なんでも慣れてくると同時に楽になる。
だから今しんどいのは、大変なのは
当たり前。
はたから見ればあえて茨の道を選んだように
見えるかもしれない。
実家に出戻って両親の助けを得ながら
慣れ親しんだ環境で子育てしたら
楽でしょうに。
そう思う人も多いかもしれない。
自分が母子家庭になったらそうするわ、と
いう人もきっと多いだろう。
だけど私は20歳のときに神に誓ってしまった。
「楽な道より楽しい道を行きます」
楽でも死んだ魚の目をして
本当はこんな生き方したくなかったのに、と
ぶつくさ恨み言を呟きながら全部を誰かのせいにして
漫然と生きるのだけは嫌だった。
思い通りに行かないことが起きても
信じていた人に裏切られても
善人の顔をした悪魔に足を引っ張られても
何度でも何度でも這い上がる。
立ち上がる。
倒れる前の何倍もの力を身につけて。
壁にぶつかっても橋が折れても
穴に落ちても
また這い上がって自分のやりたいことを
やる。ワクワクする道をいく。
私は自分の生きる力を信じているし
我が子の生きる力も信じている。
最初から楽なことは後になって
何も残らない。
最初多少きつかったことは
後になって大きな収穫になる。
だからね
頑張れ、娘。
親の仕事は子供を守ることだと
いう人がいる。
確かにそれもある。
小さい子供の命は守る義務があるし
悪いものに巻き込まれない方法を
伝える必要もあるだろう。
しかし私は、親の一番大事な、必要最低限の
仕事は、
「子どもを信じること」
だと思っている。
守りたい一心で、先回りして助けては
絶対にだめ。
やる前から無理だと諦めてはダメ。
諦めさせてはダメ。
子供が自分自身の力で乗り越え、
勇敢に進んで行けると信じて見守る。
子供は「守られたい」と願うより
はるかに強く
「自分の力で成し遂げたい」と
願っている。