子の心親知らず

実の母親に家庭を壊された毒親育ちのシングルマザーが親子のあり方を考察するブログ。

さよならも言わないままで

ついさっきの「音楽の日2020」

MISIA

「さよならも言わないままで」

「逢いたくて今」

 

響いたなあ。

 

私は元夫に、本当に

さよならも言わないままで

ありがとうも言えないままで

永遠にさよならしてしまったから。

 

離婚した夫なら

それは珍しいことではないのかも

しれないけど

 

離婚から時間が経っていなかったから

それに、亡くなってから半年も経ってから

その事実を知らされたから

少ししてから、苦しくなってしまった。

 

元夫が、頭を怪我したのは

去年の7月だったと聞いた。

 

そのとき、すぐではないけど

同じ月に

夫側の親族と名乗る人物から

私の実家に電話があったそうだ。

 

母が電話に出て、

その、元夫の親族だという中年の女性が

何の用件かをはっきりと言わずに

 

「雪さんいますか?」

「ここにはいませんが、

どういったご用件でしょうか?」

「雪さんにしかお話しできません。

(夫)さんのことで緊急のお話があるので

雪さんの連絡先を教えてもらえませんか?」

 

そう言ったので、

母は警察にも相談して住民票閲覧制限まで

かけて元夫から隠れている娘の

連絡先を言うわけにはいかないと、

 

「それは教えられません。

もう別れていて関係ありませんので。」

 

そんなふうに、冷たく答えて

電話を切ったそうだ。

 

切り際にその女性は

「冷たいな」と

呟いたと母は言った。

 

あの時、私は日本にいて

実家から車で2時間ほどのところに

住んでいた。

1ヶ月に2回は、週末や連休に

実家に帰っていた。

 

状況から考えて

母がその女性に私の連絡先を

教えなかったのは正解だとは

思うけれど

 

母は、そんな電話があったことを

私にも一言も言わなかった。

 

もし

あの時、私にその電話のことを

話してくれていたら

 

私は虫の知らせのようなものが

働いたかもしれない。

 

あの時

元夫は意識不明で入院していたらしい。

 

今年の1月に、亡くなったことを

伝えてから母はその電話のことを

私に伝えた。

 

私はその中年女性は

元夫の母親の姉妹ではないかと

思った。

 

もしかしたら

私に元夫が意識不明であることを

伝えて

お見舞いに来てもらおうと

考えたのではないか。

 

彼が未練を抱いている

私が駆けつければ

目を覚ますんじゃないか、と

期待したのではないだろうか。

 

妻と子の声を聞けば

生きようという気持ちが

蘇るのではないかと

一縷の望みをかけたのではないだろうか。

 

何の用件なのか言わなかったと

母は私に言ったけれど

それが真実かどうかは分からない。

 

どちらにしても

私宛の電話があったことを

私に伝えずに勝手に終わらせた母は

やっぱり自分と娘の境界線が引けていない。

 

母は、間違っていた。

 

一言、そんな電話があったことを

私に伝え、どうする?と

尋ねてくれてもよかったと思う。

 

もしも私がそれで

病院に駆けつけていたら

彼は目を覚ましただろうか?

 

もし目を覚さなかったとしても

手を握り、涙を流し

さよならとありがとうは言えただろう。

 

 

もう2度と逢えなくなることを

知っていたなら

繋いだ手をいつまでも離さずにいた

 

母は、私と夫に

恐ろしく残酷なことをした。

 

別れていたとは言え

一度は永遠を誓って

6年間夫婦として暮らし

子を授かった人だ。

 

私が彼の肉体がもうこの世に存在しないことを

知ったのは49日もとっくに終わり

半年が経とうとしていた時だった。

 

愛した人に

最期のお別れができないと

生きている方は悔いが残る。

 

魂の世界に還った人は

愛100%の存在になるので

悔いも怒りもないのだと思うけれど

 

生きている方は、思いが

残ってしまう。

 

2020年は、愛している人に

最期のお別れができないまま

永遠のお別れをした人が

世界中に溢れている。

 

呼吸が止るその瞬間に

手を握り、名前を呼び

最期のぬくもりを感じて

お別れする。

 

それさえもできずに

泣くことさえもできずに

 

親子も

夫婦も

引き裂かれ

 

抱きしめることもできずに

 

海外では

葬儀すらできなかった人も

多いと聞く。

 

これはやっぱり戦争だ。

 

私たちは今戦時中なんだ。

 

目に見える戦闘機は飛んでいないけれど

目に見えないウイルスが飛んでいる

(と言われている)。

 

防空壕には入っていないけれど

自宅や施設で隔離されている。

 

親族が犠牲になったことを

あとで知らされる。

 

各国は国境を封鎖し

リーダーたちは毎日

険しい顔で何かを発表する。

 

なんて、見えにくい戦争なんだろう。

 

見えにくい=醜い

 

私は見えにくい悪意こそ

もっとも醜いと思う。

 

複雑にして分かりにくくして

人々を翻弄する。

 

ストレートに

「嫌いです」と

言われるよりも

「嫌いだ」という

思いが気として溢れて

伝わる方が、人は傷つくものだ。

 

 

私に、夫に最期のさよならを

言うチャンスさえも与えてくれなかった

母。

 

MISIAの「さよならも言わないままで」の

東大寺ライブを見ていて湧き上がった思いは

 

私は、母の死目に会わないつもりでいよう。

 

ということだ。

 

きっと、人生の最後に

もっとも大切に思っていた

妻と子に見送られることなく

旅立って行った元夫の孤独と

絶望を思う。

 

どんなに言葉で説明しても

私の思いを解ろうとしてくれなかった

母には、人生の最後に孤独でいることで

因果応報を知ってもらいたい。

 

一番執着している長女の私に

会えないことで、元夫の孤独に

近づいてくれたらいいなと思う。

 

親の死目にも会わない覚悟で

私は精一杯自分の人生を生きる。

 

それくらいの強い決意が

外国でシングルマザーとして

やっていくなら必要だったんだ。

 

 

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