子の心親知らず

実の母親に家庭を壊された毒親育ちのシングルマザーが親子のあり方を考察するブログ。

悲しい体験を自分にしかないアイデンティティーにして生きるということ

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東日本大震災で壮絶な体験をした子供たち

10年経った今語ること

 

家族7人を津波で亡くした青年が

語った言葉が胸に刺さった。

 

大家族だった彼は

あの日、祖父母と母、妹たちなど

7人を津波にさらわれ

父と二人生き残った。

 

10歳でそんな経験をして

どれほどの痛み苦しみ恐怖が

あっただろう。

 

彼は震災のことを語ることなく

家族の話をすることもなく

一人静かに喪失の悲しみと

向き合って生きてきた。

 

長い年月をかけて

悲しみを消化し、

19歳になった彼は言った。

 

「自分の経験を発信することは

大きな意味があるんじゃないかな。

 

震災は切っても切り離せない自分の

アイデンティティーの1つ。

逆に自分にしかない自分の武器の1つ

でもある。

自分らしく生きていこうって思いが

強くなりました。」

 

すごくないですか。

 

これだ。

こんな風に思えれば

生き残った者として

胸を張って世の中に貢献しながら

自己実現して生きていくことができる。

 

大きな喪失の経験は

この青年をここまで強くした。

 

彼の夢はイギリス留学だそうだけど

彼は海外でどんなことがあっても

きっと乗り越えられるだろう。

 

当時は、世間から

「家族を失った悲しい少年」と

見られることが多かったから

自分がすでに前を向いていると

発信するのも違う気がするし

 

逆に悲しみに打ちひしがれていると

発するのも自分を苦しめることに

なると感じたから

何も言えなかったのだと言った。

 

そうだよね。

 

本当に辛い時

悲しみや辛さにばかり浸っていたら

自分が沈んで上がれなくなってしまうから

必死に他のことを考えたり

前を向こうとする。

 

そんな時に

喪失の悲しみをまだ知らない人に

同情の顔を見せられるのも嫌だし

無神経に励まされるのも嫌だ。

 

でも彼は、それでも

前を向いて希望を持って

生きてきた。

 

すごいことだよね。。。

 

私はまだ、喪失体験を

自分のアイデンティティーにまでは

できていないかな。

 

発信はしているけれど

それは自分の心を整理して

乗り越えるための手段の1つというわけで

まだ彼のようには、消化できていないと

思う。

 

離婚から3年

夫の死から1年半

 

やっぱりまだ、時間が必要だな。

 

私の結婚生活は7年だったから

同じくらいの年月が経った頃には

私もそれをアイデンティティーとして

武器として後進に語っているかもしれない。

 

離婚だけなら、女だから

もっと立ち直りは早かったと思う。

 

やっぱり人が死ぬということの

重みが、私にのしかかっている。

 

愛していた人と別れて

その人がこの世界のどこかで

まだ自分の人生を生きていると

思えば、さほど悲しみに浸ることも

ないだろうけど

 

愛していた人が

自分との別離を最後に

この世界から完全に消えたということが

やり場のない悲しみになる。

 

お片付けブログを見ていたら

”完全にパパっこになった娘”という

記事を見てしまった。

 

その人はこう書いていた。

 

夫の育児は

「とにかく子どもを笑わせること」

 

だから娘にとってパパはエンターテイナーで

つい注意ばかりしてしまうママと違って

そりゃ大好きになるわ、と。

 

私の夫も、娘が赤ちゃんの時

とにかく笑わせていた。

 

バウンサーに乗った我が子と

一緒に揺れながら

いないいないばあしたり

何がおかしいのか

とにかくまだ0歳だった娘は

パパの顔を見て本当に

楽しそうに爆笑していた。

 

その動画がある。

 

パパの大事な役割は

子どもを笑わせること。

 

今彼がいたなら

5歳の娘の表情は全然違ったかもしれない。

 

右手をパパ

左手をママ

両手つないで

心から安心して無邪気に

笑っていただろうな。

 

ママに叱られて

泣いて飛び込むパパの

広い胸。

 

それがあるとないでは

子どもの安心感は

大きな大きな違いがあるだろう。

 

パパと女の子の写真や

動画や、そんな文章を

見るたび

私と娘が選ばなかった、

選べなかった光景を

つい想像して泣いてしまう。

 

離婚する時、

弁護士も保険屋さんも

「離婚して後悔している女性には

会った事ないですね。」と

言ったけど

 

私は後悔している。

正確には、離婚した事でなく

里帰り出産をしたことを、だけど。

 

なぜなら里帰り後の夫の精神状態では

私は子どもを守るために離れるしか

なかったから。

 

離婚したからではなくて

私の選択がきっかけで

彼が子育ての喜びをほとんど

経験しないままに

この世界からいなくなってしまったことが

ただ悲しい。

 

娘のこの5年間の笑顔が

きっと半分くらいに減ってしまった

だろうと思うことが、ただ悲しい。

 

女はそこまで子どもを笑わせることだけに

一生懸命になれない。

 

子どもの相手をしながらも

やらなければいけない家事を

考えたりしてしまう。

 

人に好かれる子になって欲しいから

注意もしないと、とか

考えてしまうし。

 

だけど子どもは何より

ママの笑顔を望んでいる。

 

娘はよく

「ママ、笑ってよ〜」と

泣くことがある。

 

ママが笑っていないことが

子どもを傷つける。

 

それは私もそうだったから

ただただ、お母さんに笑っていて

欲しかったから、よく分かる。

 

お母さんの前で踊ったり

変顔をしたりするのも

お母さんに笑って欲しかったから

 

だけど母親になった今

それでも笑えない日がある。

 

大人は背負っているものが

大きすぎて

未来を心配したり

過去を悔やむ時間も

たくさんあって

目の前の子どもの努力では

笑えない日がある。

 

私はまだ

娘が癇癪を起こしたり

泣いたりすると

 

シングルマザーだからなのかな

なんか足りてないんだろうな

パパがいたら違うんだろうな

 

という思いから

 

全部ばあばが悪い

 

という思考に至る有様

 

この思いは

自分でどうにか消化するしかない

 

私も近いうちに

あの震災の経験をした青年のように

 

この経験を武器にして

笑って強く生きていきたいと

思う。

 

そしてどうか

人類が間違いに気付き

世界各国が封鎖を解いて

若者の海外留学の夢が潰されることの

ない平和な世界が

早く戻ってくることを

心から祈ります。