娘がこのところ毎日、パパと妹が欲しいという言う。それから犬を飼いたい。大きな家が欲しい。
今ないものを、すぐには手に入れられないものを、お金で買えないものを、毎日毎日、欲しいと言う。
2人で外食している時、遊園地で遊んでいる時、娘は周囲の家族連れを見ては、「妹がいたら楽しいのに」「家族が少ない」「大家族だったら」「パパ...」
そんなことばかり言うので、私は日に日に気持ちが落ち込んできた。
必死に今できることをやって、今買えるものを買い与えて、シングルマザーとしてはありえないほどの贅沢な暮らしをさせてあげているけれど、ただ「家族が少ない」から娘は満足しない。
辛すぎる過去を乗り越えて、なんとか前を向いて未来に希望を捨てず、今を楽しんで生きようと、笑ってやってきたつもり。
なのに8歳になった娘は今、なぜこんな無い物ねだりばかり言うんだろう。
娘を産んだ引き換えに、私は家族をごっそり失った。
夫と義母は亡くなり、夫の家族でつながっているのは義父だけ。たくさんいる親戚とはもう連絡をとる事もないだろう。
実の妹に縁を切られ、何も認めない両親とは私から距離を置いている。
娘が生まれる前、みんなといい関係だったのに、娘が生まれて離婚してから、全部壊れてしまった。
9年前のあの時、里帰り出産を強行しなければ。
私にもたくさんの家族に囲まれた幸せな今があったのかもしれない。娘はたくさんの愛に包まれて、素直にスクスクと育っていただろう。今と顔つきまでも違っていたかもな。
夫の家族、大好きだったのに。
そんな思いに囚われてしまう日々。
私と夫はきっとツインレイだったんだと思う。
魂の片割れと奇跡的に結ばれたのに、母の毒に気づかずに母を信じて夫を信頼せず、その大切な手を離してしまった。
そんな愚かな私から、神様は家族をごっそり取り上げてしまった。
それでもなんとか、娘と2人、明るく生きて行こうとやってきたけれど、その娘にナイナイ攻撃をされて、過去をえぐられている。
もう、何をどう頑張ったらいいのか分からない。
他の子は、自分の境遇に対してそんなに文句を親に言ったりしてないのではないか。
少なくとも私は、子どもの頃親に生活や人生の不満なんて言ったことがない。
自分が生まれ育った環境、家庭は当たり前で普通だと思っていたから。
娘は、海外経験が多すぎて、外の世界を知りすぎて、あるいはネットの世界に小さな時からアクセスしているためか、比較対象が多すぎるんだと思う。
私が子どもの頃は、他の家庭がどんな様子かなんて、知る術がなかった。
大家族Youtuberのチャンネルを見ては、娘は自分が家族が少ないことを知る。
私だって、子どもの誕生と引き換えにこれほど家族を失うなんて夢にも思っていなかった。子どもが生まれるのだから家族が増えるんだと信じ込んでいた。
私の家族を信頼し、愛し愛されていると思っていた楽しい幸せな日々は消えてしまった。
もう2度と、戻ってこない。
取り返しのつかない過ち。
その過ちを、他でもない娘に突かれる毎日。
悲しい。悲しい。悲しい。
夫が死んだのに、両親にひどいことをされていたことに気づいたのに、ちゃんと泣くことさえできなかった。
子どもを育てるために、今生きるために、自分にできること、できないとさえ思えるようなことにも挑戦してきた。
でも、娘は幸せじゃないのかな。
娘が幸せじゃないなら、私は何のためにたった1人で頑張っているのか分からない。
人生間違えた。
もう取り返せない。
できるなら、10年前に戻ってやり直したい。今の知識と気づきを持ったままで。
ある人がブログに書いていた。
「あの時に戻りたい」「あの時別の道を選んでいたなら」
そう思っている人へ。
あの時のあなたには、これしか選べなかった。
他の選択肢なんて、あの時は存在しなかったんですよ。
今、その辛い過去を乗り越えたあなただからこそ、今の自分ならこの道を選ばなかったと思えますが、あの頃のあなたにはそれは考えられないことだった。
あの時のあなたは、あの時自分にできる最善の選択をしたにすぎない。
もしも過去に戻ったとしても、あなた自身も過去の自分に戻っているなら、やっぱりまた同じ道を選ぶのです。
過去をやり直せるのは、今の知識と経験を持ったあなたのままで、過去に戻ることができた場合のみです。
現実には、そんなことは起こりえない。
あの時のあなたには、それしか選べなかった。他の選択肢は、存在しなかったのです。
それならばその選択の結果を受け入れて、「なぜ」ではなく「何を」その経験から得たのか、学んだのかを教訓として、未来に過ちを繰り返さないように、未来をよくする方に、労力を使ったほうがいいのではないでしょうか。
過去を後悔している時、「人生終了したんだ」という思いが何度も頭をよぎるけれど、過去の自分は人生終了したくて今の道を選んだわけじゃない。
より良くなるはずだと思って、選んだ。
あの時の自分が自分に選べる最善を選んだのだとすれば、未来には希望がある。
そう思っていいのかな...