私が両親に話している途中で夫も入って来た。
しかし彼は、余計なことを言った。
この家を出たいと言っているのが自分だけだと思われるのが
嫌だから、私も同じ気持ちなんだと思わせるために、
私が彼に話していた、私と母の昔の話をした。
お義母さんとリリちゃんの間に何があったか、僕はよく
分からないですけど、ねえ。
みたいに、濁しながら。
何も知らない父は、何の話や?と怪訝な顔をしていた。
母は、父の前で、婿にそんな話をされたことが耐えられなかった
ようで、夫の言葉を途中で遮り、
「もうええ。もう十分や!」と話を無理やり切り上げた。
それで翌日に、実家を出ることになった。
その日の夕飯の時、
私は涙が止まらなくなってしまった。
家の空気がすごく重くなっていて
家族全員が、悲しい、淋しい空気を出していた。
一時は、産後3ヶ月お世話になってもいいかな、とお互いに思った。
その後、現実的に考えて、1か月にしよう、と思い
夫の意見も取り入れたら結局2週間が限界かな、ということになり
退院した時は、2週間お世話になるつもりだった。
母も、最低それくらいはねえ。
あんたも体しんどいやろうし、と言っていた。
それなのに、結果、退院後たったの3日で、実家を出ることになってしまった。
それも、こんなにも悲しい淋しい空気のままで。
きっと、みんなが傷ついていた。
父以外は、とても深く。魂レベルで、傷ついていた。
夕飯の時、私は泣きながら正直な気持ちを話した。
私、みんなに笑顔になってもらいたいだけやのに。
お母さんも、リリ夫も、どっちも大事な人やから
どっちにも傷ついてほしくない。
お母さんも、リリ夫も、私のためにってやってくれてるの
分かるから、でも、あちらを立てればこちらが立たずみたいに
なってしまって、私挟まれて苦しいねん。
母は、「あんたにそんな苦しい思いさせてごめんな。
今は赤ちゃんのことだけに集中してほしいのに、お母さんのことで
こんなに苦しませてごめん。」と
言ってくれた。
母はやはり母だから、産後すぐの女性がどういう状態か
分かっている。
ただでさえ、ホルモンバランスが変化して情緒不安定に
なりやすく、初めての赤ちゃんの世話でいっぱいいっぱいに
なる時期なのだ。
体だって、全然回復していない。
それなのに、赤ちゃんのことよりも
私は、母と夫のことで深く傷つき、悩み、精神的にいっぱいいっぱいに
なってしまっていた。
父にも、不愉快な思いをさせてしまった。
父は怒ると怖い人だが、こらえているのが分かった。
そんな状態の中でも、父と母は荷物運びを手伝ってくれて
私達は実家を出た。