子の心親知らず

実の母親に家庭を壊された毒親育ちのシングルマザーが親子のあり方を考察するブログ。

里帰り出産の理想と現実~日本出国を決める~

実家に戻るために、アパートの荷物を片づけている時
夫は、
「隣若いカップルじゃなかったね。おばさん2人だった。」

夢から覚めたかのように
自分が聞いた若いカップルの声は、存在していなかったことを
認識した。

もうここを離れることを決めたから
意識が正常に戻ってきたのだろうか。

「いや~お世話になりました。なんだかんだでいいとこだったね。」

・・・・・・・あきれて何も言えない。

そして実家に戻るや否や、夫は日本出国の日にちを決め
早々と飛行機を予約した。

日本を離れる日が決まったら、だいぶ心が楽になったと
言った。

だから残り少ない日本、楽しもう~って。

彼はいつも、”今いる場所”が嫌になる。
すぐに”これから行く場所”に魂が飛んで行ってしまう。

”住んでいる場所”はどこもいつも”地獄”で
”これから行く場所”だけが”天国”なのだ。

”これから行く場所”も、そこが”住んでいる場所”になった瞬間
嫌な場所のひとつになる。

そんな風に、旅人であり続けたいなら
家族を持つことは無理だよ。
自由か、孤独か、どっちかだよ。

私はそう彼に言い聞かせる。

さすがに夫も、うちの両親には悪いと思っているのか
生活費を渡そう、と言って5万円、渡した。

母は、私達が日本出国の日を決めたことでまた不機嫌になった。

そう。
母が、私達に、特に夫に対し不満に思っていることの一つに
外国に行ってしまう、というのがあった。

今までは私達だけだったから、別によかった。

母は、外国で子育てなんか無謀なんだから
子供できたら日本に帰ってくるんでしょう。

と、勝手に思っていた。

私が、妊娠して、日本で産みたいから半年くらい日本帰るわ、
と言ったら、母は

え?それからまたどっか行くの?
と言った。

そのまま、ずっと日本で子育てするもんだと思っていたみたいだ。

英語も全く分からない、海外なんて最近まで行ったこともなかった
母にとって、外国に住むだけでも理解を超えているのに
そこで子育てするなんて、狂気の沙汰だった。

駐在なら、会社の命令なら、仕方がないけれど。

と会社勤めが最高の人生だと信じて生きてきた母は
思っているが、夫は、駐在員ではない。

好き好んで、いや、元々は日本から逃げるために
海外へ飛んだ。

文化も言葉も、食べ物も、何もかも違う場所で
初めての子供を育てる。

双方の母親に、気違いだと言われた。

しかし現実は、私達夫婦は母国日本にいる方が、
気が狂ってしまうのだ。

今いる場所が辛いなら、逃げたっていい。

生きてさえいれば、他にいくらでも場所はある。

精神を病んでまで、
生まれた場所に居続けなればならない理由なんて、どこにもない。

夫は、極端だけれど。


とにかく母は、かわいい孫を遠いところに連れて行ってしまう
私達を、まるで誘拐犯かのように言うこともあった。

そんなわけわからん国なんか行かんと、ばあばんとこおるか?
じいじとばあばが育ててあげるわ。

娘にむかってそんなことを言ったりしていた。

だから私は
「子供は親と一緒にいるのが幸せなんだよ。どこにいるかは関係ない。」
と言った。

小さいうちはね、親と一緒にいることが、何よりの幸せなんだよ。
安心なんだよ。

日本にいたとしても、祖父母は田舎にいて孫は都会におり、
年に1,2回しか会えない家族が多いだろう。

私達だって、年に1回は帰るのだから、さらに日本にいる人たちより
1回の滞在が長いのだから、逆に親孝行ともいえる。

しかし母にとっては、外国は”分からない”から
気分的に果てしなく遠いのだった。

今まで一度の帰国でうちの実家にはだいたい3週間以上滞在
していた。夫の実家には2,3泊しかいないけれど。

だけど今回、本当に心が干からびた私は
これからは2泊ぐらいにしようと思っている。
孫ができた瞬間そんな短くするなんて、冷たい子だと思うだろう
けれど、私は、私のこの新しい家族を、守らなければならないから。