(この記事は過去に書いたものを転載しています)
2016年10月6日
子どもが生まれてから2年以内に離婚する人が3割と最も多いという現実
産後クライシスという言葉があるように、
夫婦にとっての第一の試練は子どもが生まれて2年以内です。
私はこれを今現在身をもって経験中。
こんな状態になっているのは自分だけじゃないよね?
と確認したいので知恵袋みてみたり、
ネットで検索してみたりしているわけだけれど、
まあみんな多かれ少なかれ同じようなことで悩んでいるみたい。
なぜ子供が一番かわいい2歳までのこの時期に、
夫婦の危機が訪れてしまうのか?
調べた結果と自分の実体験を合わせてまとめてみたい。
その1 女性の妊娠出産によるホルモンバランスと体の急激な変化に
夫がついて来れない。
女性は妊娠出産により、ホルモンバランスが急激に変化するため、
どうしても情緒不安定になる。
更年期障害もホルモンバランスの変化によって情緒不安定になるものだが、
出産による変化はそれよりも大きい。
妊娠中や出産直後の動物をみたらわかる。
私は妊娠しているのに気づかずに近づいたメス山羊に
頭突きされたことがある。
子供を産んだばかりの母親は未熟な子供を守るために神経が過敏になり、
周囲全部が敵にみえる。それが子供の父親であってもだ。
誰かが赤ちゃんに触れる時、気が気でない。
小さな命を守らなければ!という強い思いが母親よりも強い人はいない。
それが分からない人は野生動物の番組を観ることをおすすめする。
それゆえに24時間休みもないのに赤ちゃんが寝ている
ほんの隙間時間を使って育児書を読んだり、ネットで調べたり、
母乳指導や育児相談に出向いたり、
初めての赤ちゃんの世話を最善のものにしようと必死。
知りたいことは山ほどある。
母乳のあげ方、母乳がよく出る方法、抱っこの仕方、寝かしつけ、
あやし方、沐浴のさせ方、などなど・・・。
私は産後2か月頃は授乳しながら育児書読んだりしてた。
時間はないけど、一刻も早くいい方法を知りたかったから。
ほっと一息つく暇もほとんどない。
頭の中は赤ちゃんのことでいっぱいだ。
命を預かるという初めてのことに、常に気を張り詰めている状態。
うまくおっぱいを吸わせられなくて泣いて、体重が増えなくて泣いて、
赤ちゃんの笑顔で笑って、湿疹で悩んで、気分は日々乱高下している。
さらに産後半年ほどは出血、おっぱいの張り、
骨盤が開いていることによる腰痛など体もとてもしんどい状態。
産後骨盤体操の先生によると、産後の女性は下半身に重傷を負っている状態だそう。
そんな中で24時間休みなしの赤ちゃんの世話。
体はまだまだ重傷を負っているのに夜中は2,3時間おきに起きて
授乳するため毎日寝不足。腰痛に耐えながら毎日抱っこ。
初めての授乳に四苦八苦しておっぱいが痛かったりもする。
そんな妻の様子を見て、夫は「子ども産んできつくなった。」
「イライラしてて可愛くない」と思い、
それを本人に言ったりしてしまって妻はさらにヒートアップする。
きつくなるのが当たり前なんじゃ!
その2 妻の大変さに対する夫の無理解
上にあげた妻の精神面肉体面の変化を、夫はなかなかわからない。
彼らは異星人並に別の、肉体と脳の構造をしているから。
夫は家に缶詰になって24時間小さな命と向き合っている
妻の大変さがまったく分からない。
何なら1日中家にいれていいね、とか
ずっと可愛い子供と一緒にいれていいなあ、とか言う夫もいるそうだ。
だったら1日でも完全に代わってやってみろ!と言いたくなる。
夫には、産後の女性の体の何が辛いのか。
かわいい赤ちゃんの世話のどこが大変なのか、本当に分からないみたいだ。
だいたい男は、いつも自分が一番大変、
しんどいと思っているような気がする。
夫も、よく「リリちゃんが丈夫でよかった。」とか
私が特別たくましいから別にダイジョブっしょ、と言ってくる。
自分は繊細で弱いからすぐ疲れるからって・・・・
出産で入院している私に本来の入院期間の6日を待たず、
3日目に「退院早められないの?なんか元気そうだし。
入院するってもっとぐったりしてるもんかと思った。」と言ってきた夫である。
理由は、自分が食事が店屋物ばかりになって体がしんどいし
淋しいし早くみんなで暮らしたい、とかの超自己中な理由で
私は心からがっかりした。
「私、まだ、出血しているんだよ?たった今、命がけの出産、
終えたばかりなんだよ?元気そうに見えても、骨盤が重傷負ってるんだよ?
もっとぐったりしてるもんかと思ったって、
あなた、産後の母親が動けないほどぐったりしてたら子ども育てられないじゃん。
自然の摂理がそんなもんだと思ってるの?」
あまりにも情けなくて、泣きながら病院の食事を食べたこと、
忘れられない。
その3 ママは世の中で一番大変な仕事である育児をほぼ一人でこなしているにも関わらず、夫が家事育児に協力しない。
うちの夫は1日中家にいるが、産後3ヶ月ごろまでは家事をよくやってくれた。
食事は母が作って持ってきてくれた。
だから私は赤ちゃんの世話だけに専念することができた。
この点はよかった。
夫が仕事で家にいない家庭の方が圧倒的に多いと思うけれど、
その場合は、平日は母親が一人で家事育児をやる。
私も、自分が育児やるようになって初めて分かったけど、
育児より大変な仕事なんかない!
いや世の中のすべての仕事を経験したわけではないので、分からないけどね、
戦場カメラマンとか要人警護とか、
そういう命がけの仕事は想像を絶する厳しさがあるかな、とも思うけれど、
まあ多くの人がやっているような”普通の”仕事に比べたら、
育児の方がはるかに大変だということ。
私も結婚するまでいろいろな仕事をしてきたし、
満員電車で通勤も何年かやった。
どれもこれも育児に比べたら楽勝~。
仕事というのは、やるべきことも、時間も、はっきりしている。
基本マニュアルや上司の指示通りにやればいい。
あいまにお菓子つまんだり隣の同僚とおしゃべりしたりもできる。
最初は1週間研修があり、その後1ヶ月ほどはリーダーが常に横にいて指導、
チェックしてくれる。
慣れてしまえば特に難しいことはない。
困ったお客さんがいたら、「上司に代わりますので」
と言って上司に丸投げ。
分からないことはすぐに先輩に質問できる。
12時になればきっちり1時間のランチタイム。
好きな物を食べながら同僚たちとおしゃべりしてリフレッシュ。
18時の終業時間が来れば、基本的には帰宅できる。
仕事帰りに同僚や友人とご飯食べに行ったり飲みに行ったり。
そして週末は完全に自分のためだけにたっぷり時間と空間を使って休む。
業種や職種によって程度の差こそあれ、
会社で働いている人はだいたい似たような感じではないだろうか。
管理職とかになれば残業も多いし責任もあって大変かもしれないけど、
それでも子育ての”大変”とは比べるに値しない。
さらに仕事というものは、それに見合った収入がある。
働いた分、お金という形でご褒美を手にすることができる。
がんばれば昇給、昇進、特別手当、など
はっきり目に見える形で「よくがんばりました。」と褒めてもらえる。
一般的な仕事が9時から18時の8時間労働×週5日であるのに対し、
育児という仕事は24時間週7日のぶっ通しである。
産後3ヶ月頃までは、3時間おきに授乳
(授乳時間約30分・その間は赤ちゃんを抱っこしてお乳を吸わせた姿勢キープ)、
昼夜関係なく3時間おき。
夜間の授乳は添い乳にするけど、同じ姿勢のまま1時間、ということも多い。
夜中も赤ちゃんが横で寝ているので寝返りもうかつに打てない。
姿勢を変えずに眠るというのは、非常にしんどい。
特に骨盤がまだ元通りになっていない間は、
横向きの姿勢で固まったままでいると腰と足がとても痛くなってくるが、
その姿勢を崩すことはできない。
ごはんを食べる時も、常に子どもを見ながらなので、
目の前の食事を楽しむ余裕もない。
仕事はだいたい新人研修や見習い期間などがあるが、
育児に研修も見習いもない。
初めてのことだらけで、しかも命がかかっていることなのに、
最初から手探りで自分でやるしかないのだ。
例えば外科医になりたての人が誰の指導も研修もなく
「はい、手術やって」と言われて急にできるだろうか?
初めての育児はそれぐらいの緊張とプレッシャーがあるということ。
分からないからといって誰かに丸投げ、することもできない。
赤ちゃんの月齢によって変わってくるけど、
基本的に保育園などに預けたりしなければ、
母親の自分時間は赤ちゃんが寝ている間だけ、ということになる。
お昼寝は個人差もあるし月齢で変わるけど、
今10か月のうちの子の場合は、だいたい1日合計3時間ほど昼寝する。
その間だけが、自分のことができる時間だ。
でもこの時間の間に家事をやったり旦那のことをやったりもするので、
完全に自分のやりたいことだけをやる時間といったら
1日正味1、2時間くらいなのかな。
土日もこれが変わることはない。
だからどうしても、自分の時間が足りなくてストレスがたまる。
そんな激務の中で夫の食事を用意する。食材の買い物に行く。
掃除する。洗濯する。片づける。無理!
時間あったら少しでも寝たい。本読みたい。スマホチェックしたい。
誰か家事をやってくれ。
その4 夫が家にいても子どものことをみない
だから夫がいる時は、できるだけ夫に子守りを代わってほしいのに、
子守りをしない、できない夫が多いらしい。
男は基本自己中。フリーの時間は自分の為だけに使いたいそうで、
リビングに子供と一緒にいても、携帯画面から目を離さず
ただ、そこにいるだけの夫に対し、
妻は何かしながらも常に目は子どもをみている。
今つかまり立ちするうちの子も、目が離せなくて、
つかまり立ちするたびに後ろにまわて倒れたら
受け止められるように構えている私に対し、
夫は同じ部屋にいても自分のことだけしていて、
全然子供の動きに注意を払っていない。
大人が2人いるなら4つの目で危なっかしい我が子を見守るなら
一緒にいる意味があるけれど、2人いても、
いやむしろ夫が同じ部屋にいたら、
子どもに注意を払ってる私に横から自分の話をしてきて気が散るし、
私の仕事が増えるだけ。
楽になるどころか却って疲れる。
夫に「私がトイレ行って戻ったら(娘)が
テレビ台のとこにつかまって立っててひやっとしたわ~」と話しても、
「ふうん」だけ。
何でひやっとするのか分かってない。
まだグラグラしてじきに後ろに頭から倒れるから後ろで支えられるように
しておく必要があるってことが、分からない。
じいじばあばの方が危険を回避するようにささっと動いてくれるので
私はちょっと気が抜ける。でも夫がいても、私は一瞬も気が抜けない。
私が楽になるように、子どもをみててくれないのなら、
同じ部屋にいないでほしい。
余計しんどい。
その5 今まで外でバリバリ仕事してきた女性は家に籠ることにストレスを感じる
近年は出産までバリバリ仕事していた女性が多いと思う。
それが急に出産で退職や休職を余儀なくされ、毎日家に籠る日々が始まる。
最初は仕事行かなくていいの楽だわ~うれしいわ~と思うが、
すぐに欝々としてくる。
社会と関わっていない疎外感。
目に見える報酬がもらえない家事育児という労働。
ちょっとした息抜きにカフェに行くことさえもままならない日々。
しゃべる相手が旦那しかいない。
一方で夫はこれまでと変わらず外に出て、やりがいのある仕事をして、
いろんな人とおしゃべりして、目に見える報酬をもらって、飲みに行って、
自由にしているように見える。
私だって仕事したいのに。いいよねあなたは自分の時間がいっぱいあって。と、
愚痴のひとつも言いたくなる。
私だって仕事がしたい。
いろんな人と関わって評価してもらって自己実現したい。
いっぱいやりたいこともできそうこともある。
だけど今は、育児が最優先だから、
乳児は母親がいないと生きていけないんだから、
ママと赤ちゃんはいつだってセットなんだから、
今は家に引きこもって赤ちゃんと向き合う。それが仕事。
そう分かってはいても、どうしてもストレスがたまってしまう。
子どもはかわいいのに、なんで私・・・・
自分が産んだくせにこんな風に思うなんて・・・
そうして自分を責めてますます追い詰められる。
その6 人間関係の変化による孤立
女性は、境遇が似ていないと友達付き合いができない生き物らしい。
独身なら独身の友達。結婚したら既婚者と仲良くなり、
ママになったらママ友。
今までの友人と人生のステージが変わってしまった場合、
必然的に会う頻度も減る。
子ありと子なしは、互いに誘いづらさを感じている。
子どもいると夜のお出かけはできないし、お酒も飲めない。
子なしからすれば子ありの人と一緒に出掛けるとベビーカーあって
道も店も選ぶしなんか面倒。
おしゃべりしてても子どものことに常に注意を払っている友達とは
しょっちゅう会話が途切れていまいち盛り上がらない。話題もずれてる。
私も子供がいない時はそんな風に感じていた。
妊娠してからは先輩ママにいろいろ聞きたかったから
それはよかったんだけど。
だから乳幼児がいる間は、近所にママ友を作ることができないと、
とても孤独を感じることになる。
私の場合、海外に住んでいて、
しかも今までいた国とはまた別の国に産後に移住したので、
もちろん友達はいない。
知り合った日本人女性たちは既婚者だけど子どもがいない人が多くて、
なかなか行動パターンが合わない。
国内でも、転勤などで今までの知人友人がいない場所で
子育てすることになっていたら、同じような境遇だと思う。
ぼっち育児は、不安だし、淋しい。
でもこの気持ちは男にはなかなか理解してもらえない。
以上のような理由から、
産後追い詰められたママとそれが理解できず疎外感を感じるパパとの間に
大きな溝ができ、喧嘩が耐えなくなり、
別居、最悪離婚になってしまうようだ。