子の心親知らず

実の母親に家庭を壊された毒親育ちのシングルマザーが親子のあり方を考察するブログ。

愛した人を看取りたかったという思い

ドラマ「この素晴らしき世界」第6話で、私と似た境遇の話をやっていた。

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〜ネタバレあり〜

離婚した夫が病気でもう死にそうな状態になっていて、元妻が5歳の子どもを母に預けて付き添いに行ったという話。

 

ドラマの中の元夫はアル中が原因で肝臓を壊し、もう助からない状態になった。

元妻は、夫の現在の様子を彼の家族から聞いて知って、最初から結婚に反対していた自分の母親には何も言わずに、「子どもをお願いします」とだけ言って行方をくらました。

 

後から、事情を知った母親は知人に「娘は私に言ったらきっと反対されると思って何も言わなかったんだと思う。」と話した。

 

娘は育児より仕事を優先していた母親を全く信頼しておらず、元夫に対しては

「ダメなやつだったけど、誰よりも私をちゃんと見ていてくれた人だから」

最期を看取りたいと言った。

 

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離婚した元配偶者を看取るとか、葬儀に行くのか、お墓参りに行くのかとかは、悩ましい問題だと思う。

 

でも、私は夫を看取りたかった。

ダメなやつでも、別れていても、一度は愛し合って一生共にしようと神に誓った相手で、濃い時間を一緒に過ごした人で、そして誰より私をちゃんと見ていてくれた人だったから。

 

私の後悔は、離婚したことではなく、そのわずか1年半後に亡くなった夫を看取れなかったことだ。

 

彼の親族が彼が意識不明状態の時に連絡をくれたのが、私の母親だったことが、私に一生消えない後悔を背負わせることになった原因だ。

 

母がその連絡があったことを当時まだ日本にいた私に知らせなかったことは、絶対に許せないことだけど、そもそも私に直接連絡が来る状態であれば防げた事態でもあった。

 

私は当時彼だけでなく彼の家族から連絡が来ることも恐れていて、全員の連絡先をブロックしていた。だから仕方なく親族は私の実家の家電にかけるしか方法がなかった。

 

彼の両親からしても孫である娘がいるのに、両親からの連絡さえも怖がって音信不通にしていた私の臆病さと冷たさが、元夫の最期を知ることができないという重すぎる後悔に繋がった。

 

唯一の連絡手段を彼の両親と私の母親という繋がりにしたのが、大きな間違いだった。あの頃私はまだ母親の奥底の本心に気がついていなかった。

 

意識不明だという連絡をもし私が受けていれば、そして親族が私に会いにきてやってほしいと願っていたことを知っていれば、私は間違いなくこのドラマの女性と同じように、当時まだ3歳の娘を実家に預けて本当のことは告げずに彼のいる病院に駆けつけたはずだ。

 

彼の手を握って、もし目が覚めることがなくても、自分の口で心からの感謝とごめんねを伝えたかった。

 

もしもそれができていたなら、彼の親族と私の関係は今と大きく違っていただろうし、義母はまだ生きていたかもしれない。

 

もしも私が手を握ることで夫が目を覚まして回復したとして、その後やり直せたかどうかは分からない。頭を強く打ったことで記憶喪失になっていたり、何か障害が残ったりしたかもしれないし、もしくは統合失調症の症状が完全に消えるなんて奇跡が起きる可能性があったかもしれない。

 

でも、理屈でも仮定でもなく、私の中にはっきりとある感情は

「愛した人を看取りたかった。」

 

これが私が再婚したい理由の一部でもある。

今生で夫を看取りたい。あるいは看取られるかもしれないけれど、つまりは

「死が2人を分かつそのときまで」添い遂げたい。

 

それが私の一生の願い。

それが叶うまでは、死んでも死にきれない。

 

夫の手を握って天国へ送ってあげられなかった私は、その死から4年になる今、お墓参りをしたいという思いが湧いてきてどうしようか悩んでいる。

 

おそらく彼は実家の先祖代々のお墓に入っていると思う。生前彼はそれを嫌がっていて、私と一緒に入りたいと言っていたけれど。

 

その墓地は一度だけ彼と義父と一緒に行ったことがあって、ぼんやりと場所と景色を覚えている。でも彼の実家から近く、誰か親族に会うのが怖い。

 

義父だけなら私は会いに行きたいと思うけれど、そのマンションの1階には親族経営のお店があって夫の兄と姉が働いており、上階には怖いいとこが住んでいる。

夫の兄と姉は異母兄弟ということもあって夫ともいい関係ではなかったし、いとこはものすごく危ない人なので、私に対してどう思っているか分からない。

 

だから私はもうこの家には行けない。

誰にも会わないことを願ってこっそりお墓にだけ行こうかななんて考えたりもする。

どうしたらいいんだろう。

 

自分のご先祖のお墓も含めて、長らくお墓参りに行っていない。

供養は気持ちの問題だから、葬儀やお墓に行くかどうかは気にしなくてもいいという話も聞くけれど、数年間夫婦だった人、ましてや子どもの父親の死に対してあまりにも自分が何もできていないので、心の中にずっと何か引っかかっている。